油圧機器や自動車部品のアルミダイキャスト鋳造から、加工・組立・性能試験までの一貫生産を行う「扶桑工業株式会社」。
積極的なVM活動を導入した“見える化経営”は、他企業からの視察が後を絶たないほど!
今回、そんな扶桑工業さんを伺ってきました。
経営破綻を経て獲得した筋肉質な経営体質
扶桑工業は、滋賀県でも有数のアルミダイキャスト加工技術をもち、農業機械・産業機械部品や建設機械部品で世界を支えています。
また、加工専用機や搬送装置等を自社製作することができることが強みです。
さらに川崎重工業(株)精密機械ロボットカンパニーさん向けのパワーショベルに搭載される油圧ポンプの、流量・馬力制御用レギュレーターバルブの専門工場を有しています。
川崎重工業製油圧ポンプは世界シェアのなんと約65%を占め、世界中で活躍しています。
そんな扶桑工業ですが、現在に至るまで1つのドラマがありました。
遡ること1998年5月、“会社更生法”が適用されたのです。
「当時の役員が即解任されました。そんなときでも、とにかくお客様のために、生産、納品をし続け、ラインは1日も止めることはありませんでした」と代表取締役社長の吉本直行さん。
当時部長だった人が役員になり、一軒一軒購買先に頭を下げて、お詫びと取引の継続のお願いに伺う日々が続いたそうです。そして、会社更生計画のゴールが見え始めた頃にVM活動と出会ったとのこと。
※ VM活動:「Visual Management」の略。全従業員が会社の状況を理解し、経営視点を持って業務に向き合うべく「見える化経営」を進める活動のこと
「VM活動に出会ったとき、手間はかかるが、すごい!という印象でした。無理だと思ったりもしましたが、将来のためにはこれが必要だと思って導入を決めました」と吉本社長。
そして2011年1月に導入され、「こんな情報まで張り出していいの?」という経営情報まで、包み隠さず公開され、まさに“ガラス張り経営”の企業として知られるようになります。
みんなで考えて変化する製造ライン
一度、倒れた会社だからこそ、本気で立ち上がる。
職場で働く社員さんはどのような方々でしょう?
「VMボードをもとにしたミーティングでみんなの考えをまとめて、お客様のニーズにお応えできるように日々変化する。それが製造です」と製造4課の小幡卓也さん。
「グループ内は年齢幅が広いので、自分のことを自分で話すことが苦手な後輩もいます。しかしそんな人でも、ベテランが思いつかないようなアイデアを秘めていることもあります。だからこそ、輪に溶け込む環境を作って、みんなで考えて、みんなでやってみる!少しでも若手が自信につながるような雰囲気にしたいですね」。
VMボードで見出された経営状況やお客様のニーズをもとに、若く新しいアイデアとベテランの経験を上手く組み合わせ、よりよい環境づくりに向き合っています。
居心地が良い生活環境と職場で
「知っている人、昔からの友人がいて、家族でどこかへ出かけることができる。仕事内容も大事ですが、過ごしやすい生活環境も大事だと思っています」。
もともと県外の短大に通っていたものの、就職は長浜へ戻ることにした人事担当の福田利恵さん(写真右)は、そう話します。
福田さんはこれから産休に入るとのこと。
扶桑工業では年々、産後復帰される方が増えてきているそうです。
「私は何より、居心地の良い生活環境で暮らし、慣れた職場で産後復帰しようと思っています」。
自分がどう暮らしたいのか考える中で、仕事をする環境、日常生活の環境も大切にしたいという女性らしい選択をされています。
仕事しているときは自分の時間
「私の場合、産後は家の外に出て、職場の人とコミュニケーション取って、良い気分転換になりましたね。家で子育てしているときは、子どものための時間ですからね。仕事しているときは唯一自分の時間として過ごせるので気分転換になりました」と製造2課の坂本美和さん。
子育ても大事だけれども、「お母さん」という肩書きではなく、一個人「坂本さん」としていられる。変わらず接してくれる職場の仲間が支えになったそうです。
お客様の要望を製造と考え、応えていく!
入社程なくして会社が倒れ、会社の再スタートから共に歩んできた社員の営業グループの足立大輔さん。
「営業では、週1回VMミーティングをします。VMボードを使って一人一人が言葉にして、皆で現状を確認し合います。お客様からの受注状況から具体的なご要望についても、営業だけに留まらず、製造にも随時共有しています」。
VM活動が導入されてからは、製造にお客様の要望を“見える化”して、製造グループに今後の流れが見えるように共有することを大事にしているそうです。
部署を越えたVM活動の精神が見えてきます。
確かな信念をもつやんちゃな人が好き
採用に関してもお話を聞いてみました。
「扶桑工業はこれまでがどうであったかよりも、『これからどうありたいか?』を考え行動できる“やんちゃな人”が好きです」と総務部人事担当の吉井浩二さん。
「“やんちゃな人”というのは、 “自らが良いと思った行いを信念に基づいて動ける人”です。周囲に必要とされている人であれば、誰でも課長になれる仕組みを整えています。今は、やりたいことがなくてもいいです」。
最終学歴や学生時代のスキルは一切昇進に関係なく、どれだけお客様と、仲間と、購入先と向き合い、前向きに仕事を捉えているかが重要。
個人と会社が共に育つことを大切に、社内教育も整えているとのことでした。
年齢関係なく本気でぶつかる環境
「技術グループは自分の考えを、自分の言葉で言えるところです。だから年齢関係なく、毎日良い意味で意見がぶつかっています」と技術グループの藤田さん。
「“ぶつかる”ということは、自分の考えをお互いしっかり持っていること、そして受け止める人がいるということですし、ぶつかり合うことを恐れず、必死に自分の考えを伝えようとしていることですからね」。
「こうだ」とやるべきことを自分で決めたら、それをやり通す。
自分で考えて、行動する姿はまさに“やんちゃな人”ですね。
どんな方法でもいいから前へ前へ進む人が魅力的!
「言われたことに対して『自分はこう思う』とはっきり伝える人が多くて、時にはぶつかることもあります」と技術グループの藤井孝行さん。
「人生で壁が立ちはだかった時、上へよじ登ってもいい、穴を開けてもいい。どんな方法でもいいから、壁の向こうへ行こうとすることが大切だと思います。失敗することもあるけど、自分の力でなんとかしようとする人。そんな人を見ていると自然と応援したくなります」。
まるで再起を果たした扶桑工業のことを話しているかのようです。
お客様とできないことにチャレンジできる会社でありたい!
一人一人が当事者意識を持って、お客様に応えようとする姿勢で、現状に満足せず、壁を越えて行こうとするチャレンジ精神をもつ社員さんたち。
扶桑工業は一度倒れたからこそ、ものづくり会社として「技術を深めていくこと」だけでなく、「経営を見えるようにしていくこと」も大切にしていくようになりました。
最後に、吉本社長の次なる挑戦について伺いました。
「現状に満足するのではなく、お客様から頼られ、常に新しいテーマをもらい続けられる会社にしたいです。常に謙虚で、新しいことにアンテナを張り続け、新しい価値を提供していきたいと思っています」。
自分で考えて行動する。
その誠実さ、真剣さがお客様への信頼に繋がり、また新たな挑戦へと進む。
扶桑工業の進化はまだまだ止まらないでしょう。
(文:對馬 佳菜子)
2018年12月28日
扶桑工業株式会社の求人詳細
法人名 | 扶桑工業株式会社 |
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募集業種 | 総合職(生産技術、営業、購買、品質管理)技能職(製造現場管理) |
雇用形態 | 正社員 |
応募資格 | 未経験可、経験者優遇 |
求める人物像 | ・目の前にあることを楽しもうと取り組める人 ・思いついたらすぐ行動してしまう人 ・自分は運が強いと信じている人 |
勤務地 | 滋賀県長浜市(長浜工場、新庄工場) 滋賀県米原市(近江工場) |
勤務時間 | 日勤:8:00~16:50(休憩65分) 夜勤:23:00~8:00(休憩75分) 年間休日118日(原則週休2日、年末年始、夏季休暇、GW、慶弔等特別休暇、産前産後・育児休暇、介護休暇) |
給与 | 新卒採用:201,500円(大卒) キャリア採用:195,000円〜 ※年齢給や経験考慮の上、当社規定により設定 (年1回昇給。年2回賞与あり) |
待遇 | 職務給、勤続給、評価給、職種手当、家族手当、交通費手当、健康手当、各種社会保険加入、退職金制度、財形貯蓄創業記念パーティー、納涼祭(労働組合主催)ほか |
WEBサイト | http://fusoco.co.jp |
メッセージ | 日本全国から見学者が訪れるVM工場(見える化工場)に是非お越しください。工場見学だけでも大歓迎です! また、希望する人であれば誰でも技能士に育てる教育システムもありますので、文系・理系問わずに安心して仕事をしていただけます。 今後は、更に女性の活躍できる職場づくりにも力を入れていきたいと思っております。 |
選考プロセス | 1)本サイト下部の応募フォームよりエントリーください。 2)1週間以内に弊社、担当者からご連絡いたします。 <ご希望の場合、事前の会社見学も受け付けております> 3)新卒採用:筆記試験(一般教養試験)、適正検査(クレペリン)、役員面接 キャリア採用:役員面接 4)面接後、合否に関わらずご連絡いたします。 5)採用決定 |
扶桑工業株式会社への応募について
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