日本百名山のひとつ、滋賀の最高峰・伊吹山を望むのどかな田園地帯。
この美しい風景に溶け込み、静かにたたずむのが、『株式会社加貫ローラ製作所』の滋賀工場です。
ここで作られているのは、産業の要となるべき「ローラ」。これは、暮らしの便利に不可欠で、私たちの日常を豊かにするもの。日本のものづくりを支える、超重要製品です。
とはいえローラは、知る人ぞ知る縁の下の力持ち的存在。普段お目にかかることがないため、ちょっとイメージできないかも…。
それがいったいどのようなものなのか? そこではどんな人たちが働いているのか?
本当は身近なローラについて、工場を訪ね、お話を聞いてきました!
スマホもマスクも!すべてはローラがあればこそ
「『ローラ』と言われてもピンとこなくて。初めて社名を聞いたときは、中高年の必需品?のカツラを作る会社だと思ったくらい」。
そうかつてを振り返るのは、総務本部・滋賀総務課の井上賀文さん。ものづくりに憧れて、この会社に転職したのは15年前です。
品質保証、最終工程の研磨と製造現場を経験し、現在は採用担当。自分と同じくローラを知らない、イメージも湧かない就活生たちに、製品と会社の魅力を伝えるべく、あちこち奔走しています。

「たったひとつでも、好きなことや得意なことがあればいい」と、井上賀文さん。キラリと光る人材を求め、就活生たちと真剣に向き合っています。
ちなみにローラとは、井上さんいわく「合成ゴムの巻かれた円筒状の回転物」。印刷したり、張り合わせたり、引っ張ったり、押したり、搬送したり……さまざまな工程になくてはならない重要な部品だそう。
いまどきの必需品、スマホだってマスクだって、ローラの働きなくして存在しないといいます。
「スマホの偏光フィルムは、4~6mのローラで薄くプレス。マスクも、何本ものローラを使って分厚い原料をのばしていきます。弾性のあるゴムローラは金属などと違って微調整がきくため、繊細な作業も可能。身の回りにあるさまざまな商品を、当社のローラが世に送り出しているんです」。
もしもこの世にゴムローラがなかったら?との質問に、「物が作れなくなります!」と井上さんはきっぱり。
なんと、産業そのものが回らなくなってしまうそうです。
「ゴムローラを必要とする現場は膨大。その用途に合わせ、オーダーメードでこまやかに製品を仕上げるのが、当社の仕事であり『加貫クオリティ』です。仕様はさまざま、ゴムの配合からローラの太さ長さに至るまで、まさに一品一様!まずは工場見学にいらしてください」。
笑顔の現場に心惹かれて…
実際に工場内を回ってみると、とにかく見どころ満載!
ゴムの塊を粉砕したり、油と薬品を混ぜて練り上げたり、筒状の部品に合成ゴムを巻きつけたり……広々とした敷地で多彩な工程が繰り広げられていて、しかも製品は、決まった規格を大量生産するのではなく、一つひとつがオリジナル。創意工夫にあふれたものづくりの現場は、隅々まで活気がみなぎっています。
こうした工場見学で心打たれ、入社を決めたのが、入社5年目の嶌弘樹さん。
就職先を決めるにあたり、数々工場を見てきた嶌さんの決定打となったのは、人。働く先輩社員の表情に、大きく心動かされたそうです。

将来を期待される、エース社員の嶌さん。仕事にも慣れ、さらに上を目指す5年目! 公私ともに充実しているそう。
「心地いい緊張感の中、みんな表情が明るくて、笑顔もあって。この会社の雰囲気が抜群によかったんです。それぞれが違うことをしているけれど、心ではしっかりつながっているというか……仲のよさ、空気のよさを感じました」。
仕事が合うか合わないかなんて、結局はやってみなくちゃわからない。
だから人や環境にポイントを置いて会社選びをしたと、嶌さんは言います。
そして、実際に入ってみると大正解!とにかく居心地がよくて、毎日のびのび働いているそうです。
「ここは、失敗があってもそれを責めるのではなく、みんなの学びにしようと前向きに対処できる職場。だから作業の流れはいいし、そうなると仕事もどんどん楽しくなります。あと、できるようになったことをしっかりほめてもらえるのも、とってもうれしい」。

ローラに合成ゴムをリボン状に巻きつけていくのが嶌さんの仕事。お客さんを思い、最高の製品に仕上げるために集中します。
最初は誰だって、右も左もわからない手探りの状態。仕事を覚えるためには、見たり聞いたり教えてもらったりは必須、人とのコミュニケーションは絶対です。つまり、人間関係こそが仕事の要!
楽しさもやりがいも……仕事そのものからではなく、仲間とつくる心地いい環境から生まれてくるものなのかもしれません。
「仕事終わりに食事に誘ってもらったり、休日に遊びに行くことも。先輩には、プライベートでも仲良くしてもらっています」。
山あり川あり湖あり! 滋賀工場のロケーションは最高!!
夏は琵琶湖でBBQ、冬は伊吹山でスノーボード、釣りに行ったり自転車でビワイチしたりと遊びが満載で、誘い誘われ、趣味が増える人もいっぱいだそうです。
仕事だけでなくプライベートも、とっても充実すると話します。

世代を超えて、親しく楽しくつき合えるのがこの会社のよさ。