「一片の木材も無駄にしたくない」。その信念から始まった木材リサイクル。
そこから事業は温室ハウスやマンゴー栽培、はては、スイーツ開発にまで展開していったと言います。
霊峰として名高い伊吹山の麓で事業を営む『山室木材工業』は、木材リサイクルに積極的に取り組む会社です。
「なんでそうなったの?」と、ワクワクする気持ちを抱えながら会社を訪れました。
リサイクルの始まりは、使い古したパレットの引き取りから
昭和42年、木製パレットの製造販売から事業はスタート。
現在は、日本最大級の生産枚数を誇る木材パレット工場にまで成長しました。
パレットを販売したお客様から、使い古したパレットを引き取ってもらえないかと要望がありました。「これらもすべて資源」という想いから、木質廃棄物のリサイクル事業にも取り組むように。主に木質チップとして再生しています。
山室木材工業社長の下村和幸さんにお話を伺いました。
「昔ながらの日本家屋が主流だったころは無垢の木のリサイクルが8割ほどでした。でも今はハウスメーカーの家がほとんど。べニア板や集成材などの接着剤を使用した木材が多くなり、リサイクルの形態も変化していきました」。
接着剤が使われていない木材は、木質チップの材料の中でもハイグレード。しかし、接着剤などを使用した不純物の多い木材は、リサイクルにより別の製品にすることが難しくどうしてもグレードが低くなってしまいます。
「でも、一片の木材も無駄にせずリサイクルすることが我々の使命。何とか活かす方法があるはず」。そこで目を付けたのが“木質バイオマス発電”でした。
“木質バイオマス発電”とは、木質チップを燃料に利用し、発生した蒸気でタービンを回して発電する仕組みです。木材が成長する際に二酸化炭素(CO2)を吸収するので、燃焼させた際に発生するCO2と差し引き、大気中のCO2が増えないことから、再生可能な自然エネルギーとして注目されています。
この事業を本格的に動かしているのは、山室木材工業のグループ会社である「いぶきグリーンエナジー」です。
グループ会社も巻き込んで、自社ですべて完結させていくというのが山室木材工業のこだわり。その延長線上に存在していたのが、園芸やスイーツだったんです!
バイオマス発電から、マンゴー栽培やカフェ経営まで!なんでも自分たちでチャレンジ
こちらは地域の木材を利用して建てたという山室木材工業オリジナルの木造温室。木の骨組みが見える構造で、デザイン性にも優れています。ここで栽培されているのは、主にマンゴー。
以前訪れたブラジルで多く栽培されていたマンゴーを、ぜひ日本でも栽培してみたいとチャレンジしたのがきっかけだそう。しかし湖北の寒い土地で、熱帯植物のマンゴー栽培はハードルが高いと思えますが、なんとここにも木質チップが活躍しているのです!
温室の前には「木質バイオマスボイラー」という看板が。木質チップを燃料とする「バイオマスボイラー」を活用し、熱帯の温度を作りだしているそう。
実際の「木質バイオマスボイラー」がこちら。このボイラーで水を温めて、ハウスの中へ熱湯を送りマンゴーが育つ熱帯に近い温度環境を作り出します。
収穫が終わったという温室の中にはマンゴーの葉が青々と茂っていました。
ここで働いているのが入社3年目の渡辺理加さん(右)と、2017年の春に入社したという秀島雄太さん(左)。高校や大学で農業を勉強していたおふたり。循環型バイオマス発電を使って、環境に配慮した農業に取り組む山室木材工業に興味を持ち、入社を決めたと言います。
「こうすればもっと良くなる!そんな栽培方法を自ら考えて、実際に成功したときは本当に達成感があります」と渡辺さんも、秀島さんも、仕事のやりがいについてそう話してくれました。
温室ハウスの天井を見上げると、木材を活かした構造がよくわかります。木のぬくもりを感じる温室ハウスで育つマンゴーは、きっと美味しいに違いない。そう思いたくなるぐらい、植物にとっても人間にとっても居心地の良い空間でした。
「スイーツ&カフェショップのDragee(ドラジェ)というお店も、うちが経営してるんですよ」と下村社長。
「収穫したマンゴーをどうするか?と考えた時に、マンゴーを使ったスイーツショップがあれば面白いんじゃないかと。このメニューやお店のロゴは、社員の女の子がデザインして。前職がじつはデザイナーだったので、楽しんで作ってくれました」。
自分たちでできることは何でもしてしまう社風がこのあたりから感じられます。
社員の得意分野を生かし、任せてもらえるというのも素敵ですね。
会社を盛り上げる社員のみなさんにもお話を伺いました
一方、本社工場では、忙しそうに社員のみなさんが働いています。ここではちょうど輸出に使用する木材パレットをトラックに積み込んでいるところでした。
作業をしていたパレット製造部工場長の草野重人さんは勤続10年目。
「私が入社した当時に比べると、会社の設備も良くなり、社員のスキルも高くなったと感じます。やりたいことをさせてくれる環境が社員を育て、生産性の向上にもつながっているのではないでしょうか」。
しっかりと休みが取れるので、プライベートと仕事の両立ができるとも話してくれました。
明るい笑顔で迎えてくれた営業部の江菅雄希さんも休日ライフを楽しむひとり。
「会社のスキー部に所属しています。毎年冬になると、上司や仲間と一緒にスキーを楽しんでいます!」と話してくれました。
すぐ近くにスキー場がたくさんある湖北ならではの楽しみですよね。
総務部主任の梅田隆利さん。京都出身で、大学では環境について学んでいました。
山室木材を知り「本当に自社で環境を循環させている!」と感動を覚え、米原への移住を決めたといいます。
「この会社のいいいところはチャレンジ精神旺盛なところ!好奇心を持って楽しめる人が向いているかもしれませんね」と話してくれました。
仕事はもちろん、会社に自転車部を立ち上げて仲間と一緒にツーリングを楽しむなど、仕事も遊びも全力な姿が印象的でした。
自然と産業の共存を目指して。正社員を募集中。
山室木材工業で、いま募集しているのは営業職と、現場管理職。
どちらの職種に就くかは、本人の希望を踏まえた上で、性格やタイプなどから適正を考えて配属が決まります。
営業職として、扱う商材によって2つの仕事があります。流通や倉庫業の方へと木材パレットを提案する「パレット営業」と、逆にリサイクルするための木材を取り扱う「チップ営業」です。それぞれ仕事は異なるのですが、じつはこの2つの仕事があることが、山室木材工業の強みでもあると、梅田さんはお話されます。
「パレット営業とチップ営業、異なる事業を同じグループ会社内でやっているのは、もしかしたら珍しいかもしれませんね。お客様のニーズにあわせて、パレットとチップ、両方の面からアプローチできるのでお客様への提案の幅は広がります」
もちろん営業職なので、人とのコミュニケーションが大切になる仕事。しかしその中には、お客様のことを第一に考えた企画提案力など様々なスキルが求められ、仕事としてのやりがいも大きそう。
現場管理職は、その名の通り、工場内など現場で働いてもらってるスタッフを管理する仕事。スタッフの働き方や、製品の品質管理・出荷チェック、安全管理などのマネジメント業務。その種類は多岐に渡るため、幅広い経験を積むことができそうですね。
霊峰・伊吹山の麓で、木と共に成長を続けてきた山室木材工業。
脈々と受け継がれてきた「一片の木材も無駄にしたくない」という信念に、新たな感性とチャレンジ精神が合わさり、思わぬ化学反応を起こし続ける魅力的な会社でした。
(文・亀口 美穂)
投稿日: 2018年2月23日
山室木材工業株式会社の求人詳細
法人名 | 山室木材工業株式会社 |
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募集業種 | 営業職、現場管理職 |
雇用形態 | 正社員 |
応募資格 | 専門学校、短期大学、4年制大学を卒業及び大学院を卒業見込みの全学部全学科および既卒3年以内の方 |
求める人物像 | 何事にも好奇心を持って、積極的に吸収できる人 |
勤務地 | 滋賀県米原市大野木1751-5 |
勤務時間 | 8:00~17:00 |
給与 | 18,5000円+各種手当て(賞与あり年2回) |
待遇 | 各種社会保険、会員制リゾートホテル、国内外研修旅行など |
WEBサイト | http://www.yama-muro.co.jp |
メッセージ | 滋賀県湖北地域で木材加工を中心に、環境を配慮した様々な事業を行っています。個性豊かな社員たちがスピードとスマイルを合言葉に活躍しております。 |
選考プロセス | 1 )本サイト下部のエントリーボタンからエントリーもしくは電話にてご応募ください。 2 )希望があれば、事前に会社訪問して頂くことも可能です。 3 )会社訪問時もしくは電話にて、一次試験・面接の日程を相談の上、決定します。 4 )一次試験・面接を実施 5 )試験・面接の結果をお知らせ 6 )最終面接(社長面接) 7 )採用決定 ※試験・面接の内容は変更の可能性あり |
山室木材工業株式会社への応募について
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