20代が活躍できる職場ってどんなところ?秘密にせまる/株式会社エノモト

工場見学1

今回の「しがと、しごと。」では、これまでと少し目線を変え、関西を中心に社外人事部として、さまざまな会社や学生の人事に関わり続けてきた「いろあわせ」代表の北川雄士が、とある琵琶湖の北端・長浜市高月町の会社を訪れました。

向かった先は、今年創業50周年を迎えた「エノモト」。
主にヤンマーの農業機械や建設機械の油圧シリンダなどを製造し、着実に成長を続けてきた企業です。

社屋

社員の平均年齢は37歳!この手の製造メーカーとしては驚きの若さです。
何やら独自の制度で20代の社員の活躍もめざましいと聞き、その秘密に迫ります。

もくじ

現代の三国志?!若き社長の両腕には信頼できるパートナー

社長1

北川:榎本社長!今日はよろしくお願いします!
早速ですが、こちら若い社員が多いと聞きましたが、社長はおいくつですか?

榎本:いきなりですねぇ(笑)。46歳です。11年前に父親から会社を任されました。

北川:はっきり言って若いですよね!35歳で社長でしょ。

榎本:そうですね。でも、僕にはふたりの頼りになる人材がいたんですよ。会社を継ぐ前に働いていた職場で一緒だったふたりにうちに来てもらったんです。いつも仕事をしながら、「三人でこういう仕事やろう」「あんな仕事やろう!」ってずっと話してて、徹夜してばっかりでしたよ(笑)

北川:いいですね。僕、三国志ファンなんですが、劉備玄徳と張飛、関羽みたいじゃないですか。

榎本:そんなたいしたもんちゃうんですけど(笑)。
でも、やるからには僕らも、社会で認められる会社になりたいって強く思ってました。影響力をだせる会社になれたらカッコイイよねって。

北川:熱いなぁ。いいなぁ。

北川1

北川:社長になられた時、前社長の周りにいた方はどうなったんですか。

榎本:みんな辞めました。

北川:まとめて?

榎本:まとめてではないです。でも、順番に辞めていきました。「お前らの考え方にはついていけない」と。

北川:え?それはどういう意味ですか?大きく変革されたんですか?

榎本:変革というほどのことではありませんが、現場でタバコくわえて仕事してるようなベテランのおっちゃんばっかりだったんですよ。

北川:昭和の時代をしょってきた人たちってことですね?

榎本:「わしら、そんなやり方してないもん」とか言われたりね。

北川:あんまり変わろうとしない?

榎本:時代が変わる時って絶対こういう問題って起きるんですよね。

北川:そうかもしれないですね。

対談2

榎本:あの時、僕は小さいころから知っていたおじさんを引き止められなかった。1回目、2回目は止めたけど、3回目となると…。辞めるべくして去っていかれたと思っています。本当に残念なことですが。

北川:それは、何か悪いっていうより、単純に方向性が合わなかったということでしょうか?

榎本:合わなかったですね。その先輩方は変わりたくなかったんでしょうね。「今のままでいいやん」が口癖のようでした。

北川:大概、そういう方って、文句いいながらへばりつくのが世間にはよくある話じゃないですか。でも、辞められたというのはある種、潔いですね。

榎本:そうですね。会長の右腕だった方も「わしらが去ったほうがお前らがやりやすいわ」と言って辞めていきました。残念ですけどね。

北川:そうですね。

榎本:でも、ベテランの方がいなくなり、人がどんどん薄くなっていく中で、「今から人のことしっかり考えないと、この先どんだけ自分が頑張ってたって会社はもたへんぞ」と本気で思ったんです。

北川:なるほど。

榎本:それで、積極的に若い人を採用していった結果が、社員の平均年齢37歳てことですかね。

 

会社は生き物だからこそ、人は宝

工場機械

榎本:近年、本当にたくさんの設備投資をしてきました。でも、たとえ1億円する機械でも、それを使いこなせるためには人間の知恵がないとダメなんです。

北川:そうですよね。

榎本:前職のときに機械の納品をしていたのですが、1000万や2000万する機械って、中小企業にとっては会社の命運をかけた神様みたいなもんなんですよ。納品時にお祓いするぐらいのね。
でも、どれだけいい機械を入れても結局のところそれを使いこなす人間がいないといけないんです。
自分が50歳を前にして思うのは、あと10年経ったら僕らも定年です。だから、次の世代をつくらなあかんと思っています。僕のあとに社長となる人の右腕をつくってあげないと。

北川:なるほど。

榎本:会社はやっぱり生き物やから、引き継いでいくには人材がすべてだと思うんです。会社と社員の思いががっちりマッチングさえできていたら、多少不景気になっても会社は全然大丈夫ですよ。絶対。

 

若い社員の活躍を支えるのは「チームワーク」

榎本社長の根本的な人に対しての思いや、信じる力はどこにあるのか?
また、社員はそれをどう受け止めているのか?その本音に迫るべく、現場で働く若手社員にインタビューしてみました。

【若手社員インタビュー:組み立て担当の岸本務さん】

岸本さん

エノモトのエースです!と紹介いただいた、組み立て担当の岸本務さん。入社7年目です。
「この会社のいいところは上司との距離が近く、なんでも話しやすいところです」とのこと。
岸本さんがエースと呼ばれる所以は、仕事が誰よりも早いからなんです。そのコツを訊くと、「ムダが嫌いなんです」と答えてくれました。

次にすることを意識しながら動くことが、岸本さんの哲学。
仕事を次々と任されてしまうこともあるようで「ちょっとめんどくさいと感じることもありますね」と笑いながら答えてくれました。
先輩や社長の前でそんな軽口をたたけるあたりからも、職場の雰囲気が良いことが伺えます。

【若手社員インタビュー:2017年4月入社の青木愛さん】
今年の4月に新卒採用で入社した青木愛さん。エノモトで働く女性社員の声も聞いてみました。

愛ちゃん
地元出身で、専門学校で学んでいたのはなんと「調理」!
なぜ、またイメージの180度違うエノモトに入社したのか訊いてみると、「ものづくりという点では一緒だから」という、もっともな答えが返ってきました。
会社説明会のときに、社員の皆さんがとても親切だったので入社を決めたそう。いまは優しい先輩方に囲まれて、毎日ものづくりをしながら充実した日々を送っていると話してくれました。

 

男性も女性もイーブンに活躍する会社へ

対談1

北川:いいチームづくりに関して、先ほど工場に伺ったときに現場で女性の方を何人か見かけましたが、女性も活躍できる職場なんですか?

榎本:そこはね、これから真剣にやっていくべきと思ってるんですよ。

北川:そう感じたきっかけでもあったんですか?

榎本:はい。6,7年前に派遣社員で可愛く元気な女の子がきたんです。工場の仕事は女の子には厳しいだろうなと思ってたんですが、ひとまずやってみてもらったんです。それで、まあ1ヶ月、休まんとよくやってくれたわと感心してたんですが、あるとき、彼女が休憩時間に隅っこでひとり座ってたのを目にして…。そのとき、「これではあかん」と思いました。彼女に話し相手が必要だと。

北川:なるほど。

榎本:すぐ派遣会社に電話して、彼女の友達でもいいから女性を連れてきてくれとお願いしました。そうすることで彼女もまた生きてくるやろなと思って。
そんな感じで女性を受け入れだしたら、なぜか男性社員も頑張るんですよ(笑)。女性が活躍すると、男性も負けじと頑張るのかな。これから人口が減っていく中で、女性は必要な戦力です!

 

「変化」をおそれない。「変化」は「成長」だから

女性活躍

北川:いい相乗効果がでてるってことですね。男女平等と言われてても、工場の現場とかって「男がやるもんや」みたいな空気がありますよね。

榎本:先日、見学に行ったメーカーさんの工場の食堂はおしゃれなカフェみたいでした。夜になるとバーにもなるとか。その工場は男女の社員数もほぼイーブンで。うちもいずれはそうなれればと思っています。
もちろん、そういったハード面の整備はすぐにでもできますよ。でも、いきなりじゃなくてわれわれのやり方で変わっていかないと。
押し付けの変化には抵抗が生まれます。だから、うちなりにゆっくり、でもすばやく変化して行かんと、あかんのやろなって思っています。

北川:「変化」っていうものに対する柔軟性がむちゃくちゃあるんですね。フットワークも軽いっていう印象があります。

榎本:いや、やってみないとわからんやろって思っているだけです。

北川:試行錯誤なのかなあ?トライアンドエラーのトライに対してもハードルが低いというか。

榎本:エラーもありますよ。それは。

北川:でも、社員の方も「まずやらせてくれる。責任を任せてくれる」って言ってたんですよね。上下関係なく全社的にトライができる雰囲気なんだなと。それはつまり変化を恐れないとか。チャレンジとか、そういう言葉にもなっていくと思うんですけど。

榎本:会社の実績は世代交代してから急成長し、近年も安定して成長を続けています。それには投資があったからです。人・モノ・金っていいますけど、全て投資から始まるんですよ。最初はなかなか利益に還らなくて焦りもありましたけどね。それが「変化」や「挑戦」ということにつながっているのかもしれません。

 

センター?いや、リーダーを決める「総選挙」やってみました

社長3

北川:最初は任せる方も任される方も不安があるんじゃないかと思いますが、信頼関係を築くためにされていることはありますか。

榎本:環境を作ってあげないといけないと思っています。だから、うちは社員が選んだ「リーダー制」を取り入れてます。リーダーと一般社員の距離が近くないと、そういうお互いの信頼関係はまず生まれないだろうから。

北川:へえ。それってどんな制度なんですか?

榎本:社員自らがリーダーを選ぶ「リーダー総選挙」です。アイドルグループの人気投票みたいなやつです。その結果で選ばれた社員に「みんなが君のこと信頼してくれてるけど、リーダーできる?」と声をかけたら「やります!」とほとんどの選ばれた社員が言ってくれました。

北川:現場リーダーを総選挙ですか!ありそうでなかったアイデアですね。

榎本:4年前に初めてやって、みんなの満足度をはかるために1年後にもう1回やりました。そこで何人か変わったリーダーもいましたね。みんなに否認されたリーダーはちょっと落ち込んでたけど辞めた社員はいません。その後「彼らがリーダーなら、職場はまわっていく」と確信できたので、それ以降はやっていません。会社の押しつけリーダーじゃなく、みんなが納得して決めたリーダーだからうまく行ったのかなって。もちろん年齢逆転とか普通にありましたよ。

北川:だから若返ったというところもあるんですかね。

榎本:そうですね。一気に若返りました。

北川:一見ギャンブルに見えますけど、非常に手堅いですよね。

榎本:正直言えば、苦肉の策でしたけどね(笑)。でも、結果としてそれが会社の形を作ってくれたかな。

【若手社員インタビュー:総選挙で選ばれた若きリーダー田中春樹さん】
実際に現場でリーダーを務める社員さんにもインタビューしてみました。

田中さん

入社5年目、汎用部品課でリーダーを務める田中春樹さんです。もちろん、総選挙で選ばれたそう!まだ20代の若きリーダーです。
「チームワークに助けられながらやってます!職場のみんなはプライベートでも仲がいいんです!」と笑顔で話してくれました。
そんな田中さんにとって、この会社のいいところは「攻めるときは攻めるが、守りも忘れない」だそうです。
社長の攻めの姿勢は社員にもしっかりと伝わっているようです。

 

伝え、認め合うための「表彰式」

北川:他にもエノモトならではの取り組みはありませんか。

榎本:うちだけではないと思いますが、毎月社員表彰式をしています。

北川:毎月ですか?

榎本:はい。金、銀、銅、鉄と賞があります。

北川:手ごたえはどうですか?

榎本:表彰時に必ず僕が評価コメントを読むんですよ。「先月はこんなことあったけど、ほんまにようやってくれた」とか「あなたのそういった気遣いがすばらしい」とかね。
これをみんなの前で読み上げることに意味がある。
一緒に仕事していない社員にもあの人にはそんな面があったんだと知ってもらえるじゃないですか。

北川2

北川:僕はなぜ評価制度があるかを突き詰めていくと、究極は文化の醸成だと思うんです。
つまり、会社が何を大事にしているか?どういうことをみんなに求めているか?っていうことをまずは伝える。そして、みんながそれを理解して行動する。最終的に社長や幹部が作りたい会社の方向性にみんなが向くための、手段として表彰があるんです。
でも、手段が目的化している会社も多いですよね。表彰すること、お金をあげることが目的になっちゃうと、いい文化って作られない。
大事なのは、まさに社長がされてるように、お互いが認め合って、それを伝え合うってことだと思います。

榎本:そうですね。だからこそ、「あなたが金賞」だけではだめなんです。「あなたのこういうところが素晴らしかった」って、みんなの前で伝えるのが必要ですよね。

 

「モノづくりは人づくり」で次世代を幸せに

北川:榎本社長には座右の銘とかポリシーみたいなんってあるんですか。

榎本:日めくりカレンダーに書いてあったひと言が深く心に響いて、自分の机に飾っています。
「モノづくりは人づくり。人材を人財に変えてこそ、良質の製品は生まれる」。
この言葉を見たとき、これだ!と思いました。

北川:いい言葉ですねえ。

榎本:常に念頭においてます。先ほども言いましたが、会社の財産は設備じゃなくって人。だから、良い人材に出会うための投資も惜しみません。

北川:なるほど。

榎本:今年は会社紹介の動画もつくったんですよ。採用活動に使いたいなと思って。ドローンも使って撮ったんです。ちょっと見ていただけますか。

北川:おお!すごい!お金かかってそうですね。

榎本:安くはなかった(笑)。でも、この「しがと、しごと。」の記事にしてもそうですけど、いい仲間に出会いたいんですよね。だから、採用活動も、もちろん「人に投資する」の一環です。そうやって新しい仲間とともに次の世代が育って行ってくれたらいいなあと思ってます。

社長4

榎本:この地域で雇用を生んで、この会社に来てよかったと言ってもらいたい。それが実を結んできたのか、最近、社員に結婚する人間が増えたんですよね。

北川:いや、それはすごい。

榎本:子どもができて、家も買ってっていう社員が出てくると、こっちも責任感じますよ。信頼してくれているんだと思うから。
9月に創立50周年のパーティをひらいて、社員の家族を招待したんです。抽選会とかやったりしてね、みんなニコニコでしたよ。

北川:アットホームですね。若い人たちが中心となって、その人たちがどんどん活躍することで会社だけでなく、地域をも巻き込んでいくでしょうね。
今日は貴重なお話、どうもありがとうございました。

(文・若林 佐恵里)
投稿日: 2018年1月19日

 

株式会社エノモトの求人詳細

法人名 株式会社エノモト
募集業種 技術系総合職
雇用形態 正社員
応募資格 不問
求める人物像 協調性がありポジティブで明るく元気な人
勤務地 滋賀県長浜市高月町渡岸寺181
JR高月駅より徒歩5分
勤務時間 8:00〜17:00(1h休憩)
給与 大学卒190,000円+各種手当~/中途採用者は経験等考慮のうえ応相談
賞与あり2~3回/年
待遇 通勤手当支給・社会保険・雇用保険・退職金制度・育児介護休業制度・401K確定拠出年金制度
休日:土日ほか夏季休暇・年末年始休暇あり
有給休暇:6ヶ月経過後初年度10日支給
WEBサイト http://www.kk-enomoto.co.jp
メッセージ これからも成長し続けるエノモトの明るい未来のために頑張って、思いやって、励ましあって、切磋琢磨してくれる仲間を募集します。やる気があれば文系理系、男女を問いません。
選考プロセス 1 )工場見学会
2 )適性検査
3 )書類審査
4 )面接
5 )採用決定

 

株式会社エノモトへの応募について

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