冨田酒造15代目蔵元の冨田泰伸(とみたやすのぶ)さん

おいしいをつくる

伝統ある「七本鎗」の酒造りを継承し、この土地で暮らし「生きていく」

日本酒好きに愛される、湖北地方の名酒「七本鎗」

美味しい日本酒を表す時によく、「まるで水のように飲みやすい」と言われることがあります。

滋賀県、琵琶湖の最北端に位置する長浜市。3月でも雪の降るこの街の一角、古い町屋や商家の建物が残る木之本町に、460余年続く酒蔵「冨田酒造」があります。日本酒「七本鎗」は、冨田酒造で造られる、滋賀の地酒の代表格。日本酒好きなら、1度は聞いたこと、飲んだことがあるのではないでしょうか。潔いほどの辛口、キレがある飲み口の一方で、とても「水のよう」なんて言わせないしっかりとした後味。米と水でつくられた、まさに「日本のお酒」を飲んでいるという実感を味わうことができます。全国各地のお酒を知る日本酒通に「滋賀の地酒なら、七本鎗」と言う人が多いのも、うなずけるところ。

今、冨田酒造では、酒造りの将来を担うスタッフを募集しています。

15代目蔵元の冨田泰伸(とみたやすのぶ)さん

現在、日本酒の製造に従事するのは、社員4名、パート4名。「基本、製造寄りのスタッフが多い」と話す冨田さんが、実家に戻り酒造りを始めたのは2002年のこと。前職では、東京の食品メーカーでお酒の営業を担当されていました。「もしかしたら、すり込みみたいなものがあったのかもしれない」という、形は違いながらもお酒に関わる仕事を経て、実家から「ちょっと手伝って欲しい」と言われ戻ったのが27歳の時。「小さい頃から住居と一体という感覚で蔵を見てきたから、具体的にいつから継ごう、とは思っていなくても、そういう意識はずっとあった」と言います。

「メーカーの営業で働いていたから、最初は”どうやって売るか”を考えた。でも突き詰めていくうちに、まずは”作るもの”をちゃんとしないといけない、と思うようになりました」。人に言われてやるのではなく「自分で仕事をするのが好き」との言葉通り、地元の完全無農薬米を使った酒造りに取り組んだり海外進出を始めたりと、独自で考え新たな挑戦を続けています。

「僕のことをよく知っている人には、僕の性格と酒造りは『全然合ってない』と言われます。東京は好きだったし、そこでもっとやりたいとも思っていたけど、”やるならとことん”というのが僕の性格。だから酒造りを辞めたいと思ったことは1回もないです。辞めたら、今まで積み上げてきたことが全部だめになる」

次は、具体的な酒蔵での仕事についてうかがいました。

”生きものが相手”の、体力と忍耐のいる仕事

酒造りの本番は、寒さの厳しい湖北の冬。
昔ながらの「厳寒仕込み」でつくる七本鎗は、10月頭から4月いっぱいまでが製造期間です。その間は、「ひたすら蔵にこもって造る」。

冨田酒造

米を洗う工程。雪の降る寒い日でも冷たい水での仕事が続きます

始業時間は午前7時。まず、米を蒸すことから始まります。続いて蒸した米を運び、麹(こうじ)造りの工程へ。

「この麹造り(米にカビを生やしていく工程)が、いちばん難しい」

麹とは、米などの穀物にカビや微生物を繁殖させたもので、この期間は完全に「麹の生育の流れに沿って動く」そうです。夜中でも休日でも繁殖は続くので、“生きもの相手”という感覚を常に持って接することが重要です。

12時から14時は、2時間の昼休み。
その後も、タンクに入っている酒の温度を計る、冷水で米を洗う、もろみを搾る、など様々な行程の作業が続きます。「水は冷たいし、米は重い。暖房が使えないから蔵は寒い」おまけに「酒造りの期間中は、曜日は関係なくシフト制」という、決して楽ではない酒蔵での仕事。しかし実際に蔵を見学させて頂くと、スタッフの方々は1箇所に留まることなくキビキビと動き回っている。そしてみなさん、とっても気持ちよく挨拶をしてくださる。

スタッフのみなさん

「こんにちは」と気持ちよく挨拶してくださる冨田酒造のスタッフさん

意外にも、現在働いているスタッフに、もともと酒造りの経験者がある人は居ないそうです。
今回の募集も、未経験者OK、体力があれば性別も不問です。

「入社前には必ず、数日間、蔵での作業を体験してもらいます」
いくら日本酒が好きでも、やる気があっても、実際の酒造りの大変さはきっと想像以上。入社してから、「とてもついて行けない」というギャップが発生しないように、必ず体験期間を設けているそうです。

酒造りのない夏の間は、酒蔵のメンテナンスを行ったり、全国各地で開催される「利き酒会」などイベントに出たりといった仕事が増えます。「北は北海道から南は九州まで、全国各地のイベントに出向きます」「つくり手が出て行って、直接お客さんと話をする。どういう人が造っているかが、すごく大事」。その想いから、スタッフさんにも積極的に出ていってもらい、人との繋がることで酒造りの大切さを大切に、自ら動くことで日本酒の未来を創造する、という思いが伝わってきます。

「場所に根付くことができる人、魅力を見つけられる人に移り住んでほしい」

酒蔵で働くスタッフには、県外から滋賀に移住して来た方が多くおられます。木之本の街には空き家になっている古民家も多く、「タイミングが合えば、近隣の古民家を紹介できます」とのこと。空き家は持ち主が遠くに住んでいることも多く、放っておくとどんどん朽ちてしまうので、できれば誰かに住んで欲しいと願われています。

酒蔵の周りには、建ってからゆうに数百年は過ぎたであろう町屋や、古い商家の建物が軒を連ねます。
歴史を感じさせる、雰囲気のある街並み。
一方で、「自分から本格的に動かないと、自然に何かが入ってくる土地ではない」という現実があります。
「場所に根付くことができる人、自分で動いて、”それでもここに居たい”という魅力を見つけられる人に移り住んでほしい。街全体に、若い人がもっと増えれば」と話す冨田さん。

「七本鎗」の名前は、かつてこの土地で起こった「賎ケ岳の戦い」で羽柴(豊臣)秀吉を助けた7人の若武者を称え、「賎ケ岳の七本鎗」と呼んだことに由来するものです。
古くからこの地に湧き出る奥伊吹山系の伏流水と、地元農家で栽培された米から酒を造ってきた酒蔵の、土地や地域の人々に対する思いを、その歴史や冨田さんの言葉から知ることができます。

「酒造りを”仕事”ではなく”人生”と思える人に来てほしい」

酒造りをするには、まず「お酒が好き」であることが大前提。
そして、「地に足をつけて、地道にものづくりができる、真面目な人」であること。
「作業の過程で、手を抜くのは簡単です。
1つの酒を造る1ヶ月半に渡る工程の中で、例えばある日の温度調節を”だいたい”で済ませて味が落ちたとしても、でき上がった酒からは、どこで手を抜いたかは分からない。
毎日同じ空間で同じ人と作業をするから、どうしてもダレてくる。だから”自分に厳しく、ごまかしをしない”そして、それをみんなにも正せる”心の強さ”が必要になります」

「作業自体は、大変でもすぐできるようになる。この状態でいいか”判断”をするのが難しい」
伝統を守りながら、広い視野を持って酒と地域の新しい未来を模索し続ける冨田酒造。
「ブランドを次のステップに進めるためにも、『自分がここで酒造りの責任者になる』ぐらいの志がある人、酒造りを”仕事”ではなく”人生”と思える人に来てほしい。全てを自分ごととして捉え、貪欲に踏み込める人がいい」と冨田さんは言います。

そしてぜひ一緒に働きたいのは「ギラギラした」野心を持ちながら、「地道な作業が続けられる人」。

460余年の歴史がある酒蔵で、新たに続く日本酒の歴史の一部になれる仕事に挑戦してみませんか。

(文・林由佳里)

冨田酒造の応募詳細
◆募集職種
清酒製造・出荷業務
◆応募資格
・日本酒に興味がある方
・ものづくりに興味がある方
・未経験可
◆雇用形態
正社員(試用期間6ヶ月)
◆勤務時間
夏季:9:00~18:00
(内、1時間休憩あり、残業あり)

冬季:7:00~17:00
(内、2時間休憩あり、早出・残業あり)

◆勤務地
JR北陸本線 木ノ本駅より徒歩5分(マイカー通勤可)
◆給与
18万円~
経験・スキル等を考慮し、面談の上決定します。
◆休日
夏季週休2日、冬季週休1.5日。
年始・その他休暇あり。
◆待遇
交通費支給、社会保険、雇用保険
賞与年2回 ご希望の方には周辺の安く借りられる古民家をご紹介できます。
◆採用予定数
若干名
◆選考プロセス
1)本サイトからエントリー後
履歴書・職務経歴書を下記住所までご郵送ください。
( 〒529-0425 滋賀県長浜市木之本町木之本1107)

2)書類選考(選考結果をすべての方にお知らせします)

3)お電話にて面談日時を相談の上、決定

4)一次面談(選考結果をすべての方にお知らせします)

5)二次面談

6)作業体験(数日程度)
※場合によっては、三次面談を実施後、採用が決定

7)勤務開始

◆WEBサイト
http://www.7yari.co.jp
◆メッセージ
酒や食に興味があり、モノ作りがお好きな方を募集しています。まずは酒造り期間の半年間、アルバイト勤務で仕事を体感していただくことも可能です。(応募時にその旨ご記載ください)

地酒を通じて、酒・食の楽しみや地域日本文化を発信していければと思います。私たちと一緒に「七本鎗」を造っていきましょう。ご応募を心よりお待ちしております。

冨田酒造のご応募

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